植彌加藤造園は、日本庭園をはぐくむことの魅力と技術を、より多様なバックグラウンドの方々にお伝えする事業を行ってきました。
お伝えすることで、植彌加藤造園の職人たちも自らの技術を言語化し、あらたなチャレンジへと結び付けています。
初回実施の2024年に引き続き、2025年は自らの手を使って空間を形作る技術のひとつである竹垣に焦点を当てて開催しました。
より美しく、より自然に、より快適に。
目指すところはさまざまあれど、技術とはそれら目的を達成するための手段です。
庭園管理や作庭の技術も例外ではありません。
技術を学ぶには、まずその技術を以て到達すべき「よいもの」とは何かを知ることが大切といえるでしょう。
幸いにして、京都はその土地の特性を生かした名庭園に恵まれています。
そのため、本研修では研修生が実際に手を動かす実習日のほか、各所の名園を見る見学日もしっかりと確保しました。
1日目: 社長による講義と庭園見学、歓迎昼食会、庭園見学
2日目: 竹材についての講義、竹垣の使われ方の実例見学①
3日目: 竹垣の使われ方の実例見学②、庭園管理実習
4日目: 作庭実習
5日目: 作庭実習、夕食会
日本庭園は時代ごとの生活様式を写しながら、そのスタイルを変遷させてきました。プログラムの初日は、まず、これから5日間の学びの基調となる日本庭園の通史についての講義がありました。次に、この日に見学に行く庭園についての概略講義を受け、昼食後に建仁寺、銀閣寺、詩仙堂にて本歌の竹垣を有する庭園を見学しました。
二日目は、三木竹材店にて日本庭園における竹の役割についての講義、竹加工の見学の後、智積院にて多様な竹垣の使われ方を見学しました。
三日目は、南禅寺界隈別荘群にて竹垣の使用例を見学した後、植彌が実際に管理している大寧軒にて、庭園管理実習を行いました。
四日目と五日目は、これまでの内容を基に作庭実践を行いました。
受講者がより技術を効率的に学習できるよう、講師陣が工夫してあらかじめ竹垣や延段を途中まで制作しておきました。受講者のみなさんは、短い時間で建仁寺垣、四ツ目垣、金閣寺垣、穂垣の4種の制作を経験しました。基本となる男結びは初日から希望者に対してワークショップを行い、作庭実習ではその成果を発揮することができました。
今回の研修プログラムでは、昨年の実績をもとに、可能な限り京都で良質な事例を目にすること、身体で庭にかかわる時間を長くとることの両方を叶えることができました。
2026年は、さらに効率的な学習ができる内容に変更して、本プログラムを実施する方向です。
詳細が決定しましたら、こちらのページでもお知らせいたします。