南禅院の庭園は、鎌倉時代末期を代表する池泉回遊式庭園です。往時の面影を残し、深い樹林で包まれた幽玄閑寂の赴きは格別で、大正12年(1923)に国の史跡及び名勝に指定されています。
庭に広がる池は曹源池と呼ばれ、龍の形になぞらえて作られたとも言われ、向かって左奥には滝石組が組まれ、池の中には蓬莱島や心字島が設けられています。
15世紀に作成された、南禅寺の由緒や歴史を記した『天下南禅寺記』によれば築庭当初には、住吉の松、竜田の楓、難波の葦 等が移植されたと記され、往時の雅な雰囲気が思い起こされます。