国の重要文化財である杉本家住宅前に位置するタカ・イシイギャラリー京都は、“鰻(うなぎ)の寝床”と言われる京町家(築約150年)の魅力を最大限に活かした現代アートギャラリーです。タカ・イシイギャラリーは、東京を拠点に、国際的に評価の高い作家から今後の活躍が期待される若手作家など、数多くの展覧会を企画し現代美術の動向を多岐にわたって紹介しています。
エントランス(店の間)には、鞍馬石の古材を組み合わせたカウンターテーブルを設置。建築家・竹内誠一郎氏が考案されたデザインをもとに、弊社は資材提案、仮組によるデザイン検証、現場施工等を行いました。伝統的な石組みの技術や知恵、現代の3D技術を駆使し、作業スペース約3.0m四方(天井高約2.6m)という屋内空間に、重さ0.8~1.0tの巨石3石を組み合わせました。町家の歴史的な趣の中で、古材ならではの深みと、堂々としたボリュームを持つこのファニチャは、本施設のアイコニックな存在となっています。
通り庭を抜けた先の中庭(部屋と部屋の間にある小さな庭)では、状態の良い既存の石材を活かした改修を行いました。「市中の山居」を意識し、ギャラリーとしての新たな利用形態に沿うよう蹲踞組みを再構成、イロハモミジやツバキなど四季を彩る植栽を補いました。サラサラと風に揺れる木々、手水鉢にポタポタと雫が滴るその様は、来館者の心を落ち着かせ、展示作品がくり広げる世界観へと誘う装置となるよう思いを込めました。
事業主:タカ・イシイギャラリー 様
建築設計:竹内誠一郎建築研究所 様
建築施工:株式会社 熊倉工務店 様