S邸

岐阜県関市の住宅地にあるS邸の庭園は、新築されたモダンな意匠の主屋と調和させつつも伝統的な京都風の日本庭園をというご要望に応えて作庭した庭園です。

庭園は玄関を入った所にあるエントランスの庭、リビングルームの北側にある中庭、リビングルームの南側で、ダイニングルームや和室にも面した主庭の3つからなっています。

エントランスの庭は、白砂敷に立石を据え、立石の周りには丸瓦を埋めて、瓦の間に褐色がかったサビ系の砂を用いて色合いを変え、山と山を覆う雲をイメージしています。

また、中庭は、白砂敷に岬燈籠を据え、キリシマツツジとタマリュウを植えた築山を設け、そこに大きな十三重の石塔を据えており、白砂敷を海に、築山を中島に見立てた、伝統的な日本庭園の手法を用いています。

メインの庭は主屋にあわせて現代的なデザインとし、京都の庭園でもよく用いられる池庭と芝生の庭を配した作りとなっており、矩形の池を中心に、その両側に芝生が植栽されています。
護岸や飛石に切石を用いた矩形の池に流れ込む滝石組は、板石を段々に組み合わせたもので、板石の上を水が流れ落ちるだけでなく、板石の脇からも水が滴り落ちるようにした、斬新なデザインを試みました。

また、池庭は、滝や池、流れの護岸に自然石を用い、さらに蹲踞などを設け、伝統的な日本庭園の手法が色濃く残る作りとしました。庭石は、京都を代表する加茂の七石といわれる鞍馬石や貴船石、紅加茂石などを用いましたが、自然石の滝石組については、岐阜県各務原周辺で産出し、京都周辺の古庭園でもよく用いられたチャートを使いました。

さらに、サクラ、ウメなどとともにモミジを多く植えて、秋の紅葉が映えるようにするなど、現代的な意匠と伝統的な意匠を組み合わせた庭が誕生しました。

所在地: 
岐阜県関市
公開状況:
非公開
作庭時期:
2013年
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