植彌加藤造園では、養源院庭園のお手入れをさせていただいております。
養源院は、豊臣秀吉側室である淀殿が、父浅井長政の菩提を弔うため文禄3年(1594年)に創建しました。元和5年(1619年) に焼失しましたが、同7年(1621年)徳川秀忠夫人お江により再興されました。
庭園は小堀遠州作と伝えられています。寛政11年(1799)年の『都林泉名勝図会』には東西に長い園池が描かれていますが、明治初期の書院滅失にともなって北側に拡張されました。
一方で枯滝をはじめとする築山の主要な石組は、当初の姿をとどめているといわれています。水落石に使用された石灰岩は白い中に垂直方向の黒っぽい筋が混じっており、あたかも水が流れ落ちているかのように見えます。そして滝流れの水は白色の石英脈の礫で表現され、流れ落ちる先には目を引くような赤白硅石が配置されています。
当時の枯滝石組が良好な状態で保存されていること、また一般的な枯滝とは対照的にさまざまな色味の石が使用されていることはたいへん珍しいとされています。
平成元年(1989年)4月に京都市の指定名勝となりました。