
八坂の塔のそばにある、かつて日本画家の邸宅兼アトリエであったところをコーヒーの最高品種“ゲイシャ”を取り扱う「GESHARY COFFEE」の京都店(東京日比谷に続く2店舗目)として改修、弊社は庭園の設計・施工を担当いたしました。計画にあたっては施主様からの「四季折々、訪れる度に何度でも愉しめる庭」「コーヒー農園を彷彿とさせる景色」「元々のお庭にある石材の活用」などのご要望を基に、魚谷繁礼建築研究所の全体監修のもと、東山にかつて流れていた轟川の谷地形を活かした水の流れの復元、コーヒー豆の産地である中南米をイメージさせる植物を取り入れた植栽、京都産の加茂七石を用いた蹲踞を設置するなど、変化に富んだ庭園空間をつくりだしました。
■エントランス
八坂の塔へと続く門前町として、伝統的な建造物の景観が保たれたエリアに立地しているため、それらに調和するよう、ゲストのお迎えにふさわしい端正な石敷き、門をくぐった先には加茂七石を使用した蹲踞を配しました。


コーヒーの世界観を表現するため、あられこぼしの中にコーヒーチェリーを想わせる赤みのある石を配したり、赤いつぼみが完全に開かない(芯が閉じたまま咲く)花姿がコーヒーチェリーに似ている椿(崑崙黒)を植栽しました。

■水盤の庭
通りからエントランスの門までは切石だけを用いた「真」の石敷き、門の内側からは切石と自然石を組み合わせた「行」の延段、庭園の奥に向かっては飛石を用いた「草」の園路とし、街中から自然の中へと入っていく空間への変化を感じていただけるよう計画しました。

水盤の中央には、地下の小宇宙に繋がる穴が開いています。

月の窓からの眺めは、コーヒー農園のある中南米コスタリカをイメージさせる景色となるよう、中南米を思わせる植物(ジャカランダ、矮性バショウ、トケイソウ、カンナ等)を植栽したり、コスタリカの世界遺産「ディキスの石球を含む先コロンブス期首長制集落群」をイメージさせる石球を植物の足元に据えています。

水盤越しに京都のランドマークでもある八坂の塔を望むことができます。

■地階の庭
新しくつくられた地下室の中央には巨大な景石を配し、庭としました。この場所は照度が少ないため、耐陰性のあるカクレミノやヒトツバ、ハランを植栽しています。

■くつろぎの庭
ゲストがコーヒーを楽しみながら散策ができるくつろぎの庭には、自然石を利用したベンチを設置し、思い思いの時間が過ごせる空間となっています。

自然石の上面を磨いたベンチ石をいくつか据えています。新緑や紅葉の季節にイロハモミジの葉の緑や赤が映り、季節ごとの味わいを醸し出します。

■流れの庭
奥へ進むと、谷地形を生かした流れの庭となっており、限られたお客様しか入れませんが、離れの地下室や、渡り廊下から水が流れる景色をお楽しみいただける構成としました。飛び石と石橋が連続する園路から、「雄滝」と「雌滝」の2つの滝を眺めることができ、街中にあって秘境を訪れたような印象的な露地としました。


流れが滝つぼにまっすぐに落ち鯉魚石で水しぶきを飛ばす勇壮な「雄滝」と、石組みの中をおだやかに流れる「雌滝」を対比させています。

離れの地下室からの眺めも中南米をイメージさせる植栽としました。樹木の合間から「雌滝」が見えるよう配植しています。


■奥離れの庭
敷地の最奥に位置する奥離れの庭は、市中の山居をほうふつとさせる奥深い木々の露地庭としました。奥離れの庭は通常非公開ですが、お茶会に使用できるよう蹲踞や茶花を配置しています。



所在地 / 京都府京都市東山区金園町390−2
事業主 / GESHARY COFFEE
建築 設計・全体監修 / 魚谷繁礼建築研究所
建築施工/ 要建設
造園設計・施工 / 植彌加藤造園
設計・施工 / 2023年10月~2025年10月
規模 / 敷地面積756.78㎡ 、建築面積 264.82㎡、地下1階地上2階建
対象 / 庭園約400㎡