
京都・東山の風情を日常に取り込むことを目指した「レジデンス ザ 京都東山大和大路」において、植彌加藤造園は造園・ランドスケープデザイン及び施工を担当しました。
本計画では、「東山風情を醸成する粛然たるプライベートホテル」という施設コンセプトをもとに、東山の山中や鴨川の流れを想起させる景色を、限られた空間の中に縮景として表現しています。
京都の東山地域は古くから多くの文化人に愛されてきた土地であり、その美しい自然観と歴史性を、住まう方の日常へとつなげることを目指しました。
エントランスを含む3つのエリアそれぞれに個性を持たせつつ、東山にちなんだ樹種や石材を選定し、関連性を持たせました。
エントランスでは、京都の季節を演出するシンボルツリーとしてイロハモミジを配しました。またササや足元に配した石敷きにより、京都らしい静かな迎景を演出しています。加えて手水鉢を設えることで、水音とともに和の趣を感じられる空間とし、住まう方を穏やかに迎え入れる空間としました。
日本庭園の世界では、一般的に手水鉢は露地から茶室に入る前にある蹲踞の要素で、茶事を嗜む前に心身を浄める装置とされていますが、ここではご入居者様に和を感じてもらうおもてなしの装置として取り入れています。



ラウンジから先の中庭では、入居者様だけが入ることができ、居住スペースに向かう空間のため、高い築山やまるで山から露岩しているような大きな自然石によってダイナミックで特別感のある景色を作りました。これにより、より間近で庭や自然の息吹を感じ取っていただけます。

ラウンジに面する南中庭では、比叡山から連なる東山の稜線をモチーフに床レベルより高い築山や景石を構成し、自然の力強さを感じさせるおおらかな空間を創出しています。限られた空間の中でも、石の据え方や植栽の高さ、視線の抜けを細やかに調整することで、奥行きと迫力を感じられる景観を実現しました。






北中庭では、東山を象徴するアカマツを主景とし、林床の地被・低木類や水の表現として白川砂利、自然石を組み合わせることで、限られた空間の中でも東山を形容する「山紫水明」の風情が感じられる景色を形成しています。
また、各フロアの通路に囲まれた場所ですので、フロア同士のつながりを生み出す仕掛けとして高さのあるアカマツを用い、このマンションの象徴的な場としています。
四季折々に表情を変えるツツジなどの低木やイロハモミジも随所に配置し、住まう方が日々の暮らしの中で季節の移ろいを感じられるよう計画しました。




南中庭・北中庭は5層の住棟に挟まれた空間という環境条件であったため、計画・設計段階に日照検証を慎重に行った上、適応する樹種の選定、植栽位置の検討を行いました。また、設計と施工を同一組織で担う当社の強みを活かし、設計段階で描いた空間の意図を、現場での石組みや植栽配置、素材選定に至るまで丁寧に反映しています。現場で素材一つひとつと向き合いながら細部を調整することで、図面だけでは表現しきれない空気感や景色の深みを緻密な職人の技術によって実現しました。
所在地 / 京都府京都市東山区
事業主 / 東レ建設株式会社・三井不動産レジデンシャル株式会社
設計 / 株式会社アクセス都市設計
建築施工/株式会社かねわ工務店
造園・ランドスケープ デザイン監修・施工 / 植彌加藤造園
デザイン監修 / 2023年12月~2026年3月
規模 / 敷地面積1534.09㎡ 、建築面積 1070.63㎡、地上5階建
対象 / 北中庭:約 70㎡、南中庭:約22㎡、アプローチ:約65㎡