嵐山荘は、天龍寺に程近い場所に新しく作られた、企業の保養施設です。ランドスケープの計画設計を京都造形芸術大学 佐々木葉二教授、鳳コンサルタント(株)環境デザイン研究所が実施され、京都ならではの庭園技術をいかした造園空間として、材料などの検討段階より参加しながら施工させていただきました。
嵐山の地ならではの趣きを持ちながらも、新しい建築に相応しいモダンで明るい和風の庭として、そばを流れる大堰川・保津峡の「水」をモチーフとされた庭園です。敷地内は、玄関アプローチと駐車場に始まり、表庭、中庭、奥庭の3つの庭で構成されています。
玄関アプローチと駐車場については、アプローチ入口に鞍馬石の周りに川石のあられこぼしを敷き並べ、その先は葛石と玉石のストライプパターンで構成された小道、駐車場は白と黒の小端立て石でデザインされた空間、まわりは石材を加工して組み合わせた石積みで包み、施工者として最も力の入った空間です。
表庭は、川に小舟の浮かぶ風景をイメージされた空間で、水面に見立てた白砂の中にコケに覆われた舟形の島が浮かんでいます。 中庭は、竹とササによる市松崩しのデザインの、美しい空間です。 奥庭は、保津峡の渓谷をイメージされた水に見立てた黒系砂利に、長い割石を据えてモミジなどの植栽で構成されています。
春のサクラ・新緑と、秋の紅葉が特に見応えがある、モダンと嵐山らしさの融合した造園空間となっています。